Nulbarich 守りたい場所ができたいま鳴らす必然的なスケール感、新作『Blank Envelope』を語る
フロントマンのライフストーリーやトレンドにまつわるバンドにつきものの、コンテキストからおよそ自由なバンド、Nulbarich。音楽そのものの魅力で日本武道館を完売した、多岐にわたるファンが思い思いに楽しむ最高にピースフルな情景は記憶に新しい。バンドにとって一つの節目になったその武道館公演を挟んで制作された3rdアルバムは意訳すると“宛名のないラブレター”=『Blank Envelope』。前作『H.O.T』以降にCDリリースや配信されたナンバーや、タイアップで馴染みの楽曲と、さらに見晴らしのいい場所にいるバンドを連想させるジャンルすら溶解した新鮮な楽曲が詰め込まれた本作について、さらにはそのジャケットイラストの意味も話題になっているアートワークについてもJQにじっくり話を訊いた。
――武道館公演を経験してみてJQさんの心境やバンドの状態に変化はありましたか?
武道館が終わってからすぐ1ヶ月ぐらいでアルバムのコンポーズをしたんです。それまでにデモは揃ってる状態で、そこから作り直したりコンポーズしていったりしたんで、武道館で見えた景色は……せっかくここまできたからには、自分たちの音楽ってものを日本だったり広い地域にスタンダードとして根付かせたいなって思いがすごい浮かんだというか。あと、ほんとに幅広い人たちが聴いてくれててピースなお客さんたちが多かったんで、“これを失いたくないな”“ちゃんとここを守っていこう”って思いましたね。
――じゃあ武道館公演の影響は大きかったんですね。
そうですね。かなり影響はあるんじゃないかなと思いますね。多分、武道館に実際に立つまでと立った後じゃ、自分の中のNulbarichにおける音楽のスケール感みたいなものも、終わってからの方が全然広いかな。
――確かに今作の実質ラストナンバーの「Stop Us Dreaming」はスタジアム感がありますし。
そうですね(笑)。この曲に関しては、無邪気なアメリカンポップス感のある、曲がってないストレートな歌詞だったので、そういう曲も含めて珍しくスケール感が揃ったアルバムにはなってるかなと思ってて。
――すでに発表されていたタイアップ楽曲とアルバム新曲も結果的に整合性の取れた流れを感じて。JQさんの中でアルバムを構成する上でどんなビジョンがあったんでしょう。
武道館までにできてる曲が7曲目までに収まってて、それ以外が後ろにあるって感じなんですけど。それこそタイアップがある曲たちも単曲のイメージしかなかったんで、並べたときにどうなるか?っていうのは想像ついてなかった曲が多かったんです。個人的には7曲目に聴く「Kiss You Back」が、“え、めっちゃいい曲じゃん”みたいな感じになったっていうか(笑)。置いてみて、“あ、すげえ染みるじゃん、何これ”っていう感じになったり。個人的には2018年を振り返って、かつ2019年に向けた流れになってるかなという気はしました。
――「Kiss You Back」はリリースされた時、いわばEDM以降のポップスだと感じて新鮮でした。
そうですね。「Kiss You Back」は、EDMもそうなんですけど、トロピカルが流行ってて。いわゆるUKのフェス系の音が入ってきてるんですけど、根本的には少しカントリー調なものがあって、アルバムの中に落とし込むと土臭さというか、よりカントリーっぽい部分が表情的には見えてきたかなと思って。
――地球上の別のところにいるんだけど、運命というか宿命というか、「VOICE」の彼は「JUICE」の彼女を知ってるんじゃないかと思っちゃいました。
なるほど。ほとんど僕の歌詞って、自分と……たとえばなんでも良いんですけど、(テーブルの上の水を差して)このミネラルウォーターとか(笑)、何かに対して書くことが多くて、そこに思う何かを何かに比喩して一個のストーリーになってることが多いんです。結局この「JUICE」も、主人公と何かの曲で。「VOICE」も自分と何か、それが結局、時になんとなく女性目線の言葉になったり、ものによっては男っぽくなったりすることがある。比喩じゃないとなかなか“I Love You”とか言えないっていうか、ストレートにものを言えない。<おやすみの前にtaste the honey>とかほんとに思ってたらなかなか言えない歌詞っていうか(笑)。
――そして最後にこのジャケットのアートワークについてお聞きしていいですか?
はい、もうそこに繋がってるんですけど、全てが。
――アートワークを待っていたら、こういうことだったとは(笑)。
(笑)。このジャケットのイラストはゴヤ(のモチーフ)で、中にはルーベンスがいたり、いろんな人のその絵があるんですけど、それをNulbarichらしくしてるっていう。神話をもとに画家たちはその絵を描くんですけど、ゴヤはその絵のタイトルをつけていないんです。で、評論家たちが後付けで“この絵はこういう風にこういう思いで描いてる”って、結局真相はわからず。
――“真相わからず”が今作のテーマに繋がっていると?
そうっすね。長場 雄さんていうイラストレーターの方で、今回アー写も描いてもらってるんですけど、“アルバムのジャケットどうしようか?”ってなった時に、長場さんとアートディレクターの前田晃伸さんが思うNulbarichだったり、この作品を二人の中で消化して、いわゆるアートワークに当てはめる絵を作ってくださいってお願いして、これがきたので、“あ、やばい、伝わってる”みたいな。あと長場さんて、いつもペンで描くんですけど、鉛筆のラフ画のまま行きたいっていう話で。僕も初めて長場さんのこの線の強弱を見れたので、そこも結構感動しました。
アルバム『Blank Envelope』
2019年2月6日発売
https://nulbarich.lnk.to/BlankEnvelope
ライブ情報
Nulbarich ONE MAN TOUR 2019- Blank Envelope-
2019年3月31日(日) 宮城・仙台PIT (info:ジー・アイ・ピー 22-222-9999)
2019年4月7日(日) 北海道・Zepp Sapporo (info:WESS 011-614-9999)
2019 年4月10日(水) 大阪・Zepp Osaka Bayside (info:キョードーグループ 0570-200-888)
2019 年4 月13日(土) 広島・BLUE LIVE 広島 (info:夢番地(広島) 082-249-3571)
2019年4月17日(水) 愛知・Zepp Nagoya (info:SUNDAY FOLK PROMOTION 052-320-9100)
2019年4月19日(金) 福岡・Zepp Fukuoka (info:キョードー西日本 0570-09-2424)
2019年4月20日(土)香川・festhalle (info:デューク 087-822-2520)
2019年4月24日(水)・25日(木)東京・Zepp Tokyo (info:クリエイティブマンプロダクション 03-6427-2323)
チケット金額:1Fスタンディング:¥5,000(税込) / 2F座席指定:¥6,000(税込)
※3/31宮城、4/13広島、4/20香川公演は1Fスタンディングのみ
チケット一般発売日:2019年1月26日(土)10:00~
備考 *6歳以上チケット必要 / 6歳未満でお席が必要な場合はチケット必要
<イベント>
2019年3月16日(土) ビクターロック祭り
2019年5月4日(土)JAPAN JAM 2019
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