海洋産業の新たなビジネス創出を目指す 「静岡市海洋産業クラスター協議会」プロジェクトのご紹介 ~産学官の連携によるAIを活用した漁業支援システムなどを開発中~
伊豆半島最南端の石廊崎と、御前崎を結ぶ線に囲まれた海域の駿河湾は、最深部は深さ2,450mにも達する日本で一番深い湾です。湾内には約1,000種の魚類が棲息しているといわれており、国内では駿河湾でのみ水揚げされるサクラエビや、新種の大型深海魚「ヨコヅナイワシ」などの深海生物も多数棲息しています。
今回は、駿河湾における研究開発の支援などを通じ、静岡市を海洋産業のクラスターとするために活動している「静岡市海洋産業クラスター協議会」(MICCS)のプロジェクトの一部をご紹介します。
産学官の連携で「駿河湾の宝石」の資源保護をサポート
①由比サクラエビプロジェクト
日本で唯一、駿河湾でのみ水揚げされ、「駿河湾の宝石」とも呼ばれるサクラエビ。2018年以降、深刻な不漁に見舞われているサクラエビの資源を守り、持続可能な漁とするため、静岡市海洋産業クラスター協議会を含めた産学官が連携し、「由比サクラエビプロジェクト」を実施しました。
国内で唯一、駿河湾で獲れるサクラエビ
◆深海にいるサクラエビの群れを撮影し、大きさなどを瞬時に測定
日中は水深200~300m付近に棲息しているサクラエビの群れを確認するため、新しいカメラシステムを開発するとともに、実際に撮影された映像をAI技術も用いて解析し、行動や大きさなどを測定。問題なく漁を行うことが可能かどうかの操業判断に役立つ情報を、リアルタイムで取得できるよう研究を進めました。
撮影のため開発したカメラシステム
◆東海大学や静岡県との連携によるプロジェクトのステップアップ
「由比サクラエビプロジェクト」は令和元年度で終了しましたが、その成果をベースとし、東海大学海洋学部の西川淳教授を中心とした「SAKURA-Xプロジェクト」が今年度新たに立ち上がりました。
本プロジェクトは静岡県の研究委託事業に採択され、引き続き各分野のエキスパートが連携して取り組んでいます。協議会でも運営支援を行うなど、プロジェクトに積極的に参画しています。
◆将来的には漁業者がシステムを運用し、日々の操業判断に利用することが目標
「SAKURA-Xプロジェクト」では、ステレオカメラによる撮影映像のAI解析、ネットや魚探情報をもとにした高度な分析により、操業判断に必要な情報を提供できるシステムを目指しています。
サクラエビ
駿河湾の海底300m付近に棲息する生き物の姿を撮影
②「駿河湾深海生物映像図鑑」プロジェクト
「由比サクラエビプロジェクト」において撮影された、駿河湾の海底300m付近の多種多様な生き物たちの姿を、「駿河湾深海生物映像図鑑」としてまとめてYouTube上に公開しています。
日本一深い駿河湾の海底にどんな生き物がいるのか、普段は見ることのできない様子をぜひご覧ください。
▼静岡市海洋産業クラスター協議会公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCnTYGiIPBTloAZnKBAfn8IQ